あらすじ
サスペンス群像劇
桜井(堺雅人)は鳴かず飛ばずの役者志望で不器用な男
ボロアパートに住んでいる
桜井は自殺を計画しながら暮らしていたが、温泉に行った際に近くで転んで意識を失った近藤という男とロッカーのカギを差し替え、そこから近藤の家に忍び込み大金を盗む
近藤は前日にとある会社の社長を始末していて、完璧主義の殺し屋である
近藤は意識を失った後病院で目覚めるが、記憶を失っている
桜井は盗んだ金で借金を返して回り、自殺する前に近藤に家の鍵などを返しに来たが桜井はそこで近藤が記憶を失っていることを知る
桜井はそれから近藤になりすまし生活を始める
荷物を入れ替えられた近藤は自分が桜井だと勘違いをしたまま生活を始め役者の道を歩みながら、水嶋という女性と仲を深めていく
水嶋は雑誌編集者の女性で、結婚を焦っており相手もいないのに近々結婚する予定を立てている
ある日桜井は近藤の電話の着信に応答し、社長殺しの金をもらうために雇い主のヤクザに接触することになる
雇い主のヤクザは社長が金を持っていなかったため金が用意できなかったと言い、桜井に社長の財産を受け継いでいるであろう社長の愛人である女から金の在りかを聞き出すように命令する
その女を不憫に思った桜井は近藤の金で女をうまく逃がす計画を立てるが全くうまく行かず、挙句の果てに雇い主に計画がバレてしまう
一方近藤は水嶋の父親の葬式に出席した後クラシック音楽が好きだった水嶋の父親の部屋で、元々近藤が好んでいた音楽を聞きすべての記憶を取り戻し水嶋の前を去り元の近藤の家に戻る
近藤の家に帰ってきた桜井はそこで記憶を取り戻した近藤と出会う
近藤は桜井から桜井がなりすましを行ってからの経緯を聞いたあと、雇い主に裏切りがバレて命を狙われている桜井を助ける計画を立てる
近藤の計画は、近藤が雇い主の目の前で桜井(雇い主は近藤だと思っている)を殺す演技を行うこと
近藤は本当は殺し屋ではなく、人殺しの演技を行って行方不明者を偽造することで人殺しを計画している人とされている人両方からお金をもらうという商売をしている男(近藤も偽名)であり、社長殺しもそれに見せかけた計画であったことが判明する
計画を実行中、近藤が桜井を殺す演技をしようというところで近藤(水島は桜井だと思っている)を心配してつけて来た水嶋が現れる
水嶋が現れ動揺した近藤は二人を乗せ雇い主の前から安全な場所へ逃走する
近藤は水嶋に被害が出ないよう一人で何とかしようと二人をその場所へ残して去る
桜井は近藤が二人の元を離れた後、たまたま同じ場所に逃げ隠れていた社長の元愛人の女と遭遇し、三人はその女の家に向かう
そのころ近藤は自分の家で待ち構えていた雇い主につかまってしまう
しかし近藤は演技を続け、雇い主に自分は近藤の手下で近藤をこれから殺害すると騙すことに成功する
雇い主と近藤は桜井(まだ雇い主は近藤だと思っている)を社長の元愛人の家で発見する
そこでは桜井が大芝居を演じていた
桜井はその元愛人を殺害したという芝居を行うが、女は金は持っていなかったと言って雇い主を騙そうとする
しかし雇い主はこれをあっさりと見破り、死んだふりをする女に金の在りかを直接問いただした
女は金は無いと言い、ピンチに陥る桜井
しかしそこで隠れていた水嶋が姿を現し、近藤の雇い主に女の家にある一見大したことの無い家財道具がすべてビンテージ品で、相当な価値のあるものであることに気が付いたことを説明した
これが社長と女の計画であり、女はバレて動揺する
雇い主は突然現れた水嶋に少し疑問を抱きつつも手下のヤクザにトラックを手配させ、家財道具を盗み出す計画に切り替える
女を始末するように命令された近藤は女をトランクに載せ、桜井、水嶋と共にその場を去る
その直後近藤は警察に空き巣が入っていると雇い主を逮捕させることに成功する
その後、桜井が自殺志願者だと知っていた近藤は桜井に良い大芝居だったと勇気づけた
近藤の水嶋を想う気持ちは記憶が戻ってからも変わっておらず、水嶋と愛を深めていった
桜井は元のボロアパートに戻り、隣の住人と良い感じになる
感想
近藤が記憶をなくす前に行っていた、殺しの偽装のビジネスのアイデアが物語の核になっているが奇想天外で面白かった
展開としても最初から最後まで次が気になる展開で見飽きなかった
情けない感じの桜井と対比されてなんでも真剣に完璧にやり遂げる近藤のキャラが非常に立っていた
近藤が記憶を無くしている段階ですでにそのキャラが立っていて、記憶をなくしても前向きに鳴かず飛ばずの役者から真剣に立ち直ろうとしていたりする展開が面白かった
そろそろ記憶を取り戻して完璧主義の殺し屋としての近藤を見てみたいと思っていたところで近藤が記憶を取り戻し、完璧主義の殺し屋近藤を一瞬見れて満足していたところでさらに殺し偽装ビジネスが明らかになって想像の上を越えていった感じだった
いかにも堺雅人と香川照之という感じのコメディ感に、中盤までは(人殺してるし)そこそこ重たいシナリオだと思っていたので若干違和感を感じていたが、種明かしの後はピッタリ調和して合点がいきメタ的な面白さも感じた